2025年10月29日水曜日

「久延彦 REPORT」(19)

 10月21日、自民党の高市早苗総裁が、憲政史上初の女性首相に選出されました。今年は女性参政権が認められてから80年という節目の年でもあり、フェミニストを自称する人たちにとって、2025年は画期的な一年として記憶されるはずでした。また、性差を理由とする女性の社会進出を阻害してきた、いわゆる「ガラスの天井」が打破された歴史的な一年となったはずなのです。ところが、日本の主要メディア(大手新聞や大テレビ局)が一向に盛り上がらないのはどうしてなのでしょうか。それは、男女共同参画社会の実現などを主張してきた人たちが、実はとんでもない偽善者であったからなのです。

 男女平等とか、女性の社会進出、女性の地位向上などとほめそやされてきた一連の運動が、実は世の中を混乱させ、人々を不安に陥(おとしい)れるだけの偽善であったことが白日(はくじつ)の下(もと)にさらされたのです。その意味では、2025年は歴史的にも特筆されるべき画期的な意義を持つ一年となるのではないでしょうか。世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダーギャップ指数(GGI)」なるものがいかにいい加減で、利権にまみれたものであるのか、日本国民はそろそろ気づかなければならないのです。

 「ジェンダーギャップ指数」を持ち出しては、日本が女性の地位向上においていかに後進的であるかを得意満面に指摘し、男女格差において先進7か国(G7)では最下位であり、韓国や中国よりも下位にあることを過度に強調していた人たちは、さぞ初の女性首相誕生に歓喜しているのかと思いきや、意外なことに、喜びの声がほとんど聞こえないのはどうしたことなのでしょうか。

 10月4日に自民党の新総裁に高市早苗氏が選出され、史上初の女性首相誕生が現実味を帯びてくると、女性の地位向上に人一倍熱心だった人たちからは信じられないような発言が飛び出してきたのです。その代表的な発言を紹介します。

 「自民党総裁に高市早苗さんがなる。自民党初の女性総裁と言われても選択的夫婦別姓に反対しジェンダー平等に背を向けてきた人なので、嬉しくありません。」
(社民党・福島瑞穂党首)

 「初の女性首相が誕生するかもしれない、と聞いてもうれしくない。来年は世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で日本のランキングが上がるだろう。だからといって女性に優しい政治になるわけではない。」(社会学者・上野千鶴子氏)

 「祝意を伝えることができない。きっと私は器が小さな人間なんだと思う。おめでとうなんて思ってないから絶対に言えない。」(立憲民主党・松下玲子衆院議員)

 ここに、日頃から女性の社会進出を主唱してきた人たちの本音が見えているのです。つまり、この人たちは女性の地位向上を真に目指しているのではなく、それを隠れ蓑として、実は自らの政治信条を実現しようとしていたのです。それは、ジェンダー平等を実現するためであり、選択的夫婦別姓の法制化のためであり、また、同性婚やLGBT政策を推進するためでした。そして、このような政治信条に賛意を示す女性が社会進出することは歓迎しても、その反対の政治信条を持つ女性については全く認めようとしないのです。

 そのことを端的に示す表現として、ご紹介しておきたいのが、法政大学の田中優子前学長が2024年10月13日の集会で語った内容です。2024年の自民党総裁選(石破茂氏が総裁に選出)において高市氏が決選投票に残ったことについて、田中前学長は次のように語ったのです。

 「あ、まずいと思った。日本の歴史に残る最初の女性の首相がこの人だったら、ちょっと恥ずかしいでしょ。・・・安倍さんが女装して現れた。言っていることは安倍さんそのものだ。女性がどういう歴史を歩んできて、どんな目に遭って今まで生きてきて、政治がそれに対して何をしないといけないのか、一度も考えたことないのだと思う。・・・だから、中は男でしょ。安倍さんでしょ。」

 このようなフェミニストの偽善を辛(しん)らつに批判している正論も紹介しておきたいと思います。 それは、 旧民主党で衆院議員を務めていた菅野(山尾)志桜里氏が、 10月17日に投稿した内容です。

 「女性政治家に『私が求める女性リーダー像』を勝手に押し付け、そこにはまらない女性に『女装した男』とレッテル貼りしても、社会は1ミリもよくならない。・・・自分の希望に沿わない女性政治家を『中身は男』と非難するのは、性差別です。しかも属性で人を貶(おとし)めて笑いをとるのは、いじめの構造と同じです。フェミニストあるあるですけど、これを機にやめましょう。」

 ジェンダー平等を訴えてきた人たちが、高市首相に対して、「女性全体の代弁者ではない。素直に喜べない」と公言し、女性ならば誰でもいいわけではなく、その中身が問題であるとして、その女性がいかなる政治信条を持っているかが問題の本質であると告白してしまっている時点において、フェミニズム運動が女性解放のための運動などではなく、ジェンダー平等が女性の活躍や地位向上を実現するための思想ではなかったことは明らかなのです。残念なことですが、高市首相誕生という女性にとっての喜ぶべき歴史的な出来事が、実は「女の敵は女」であるという現実をあぶりだすものとなったのです。

 しかし、この現実を理解することから、本当の意味での男女平等、女性の地位向上という悲願は達成されるのではないでしょうか。その意味では、ジェンダー平等の欺瞞性(ぎまんせい)やフェミニズム運動の偽善性があぶり出されたことは、高市政権誕生がもたらした大きな功績であったのかもしれません。偽りの女性解放運動から解放されることこそ、真の女性解放であり、女性が女性であることの幸福と自由を享受する近道となるのではないでしょうか。

 高市早苗氏が憲政史上初の女性首相となったことは歴史に刻まれる画期的な出来事となりました。高市首相に対しては、法政大学の田中優子前学長の言葉に倣(なら)い心からの祝意と賛辞を贈りたいと思います。

 「あ、素晴らしいと思った。日本の歴史に残る最初の女性の首相が高市早苗さんであることは、実に日本の女性にとっての誇りです。・・・安倍元首相の政治理念を継承し、『日本を取り戻す』というスローガンのもとで、安倍元首相が願っていた日本の再建に取り組もうとしている。そして、何よりも日本の女性が歴史の中でどのように歩んできたのか、どんなことを成し遂げて今まで家族を支えてきたのか、日本という国を支えてきたのか、そのことだけを考えてきたのだと思う。・・・だからこそ、高市早苗首相は日本女性の鏡でしょ。まさに大和撫子(やまとなでしこ)でしょ。」