2025年8月20日水曜日

「久延彦 REPORT」(10)

  大東亜戦争終戦80年を迎え、8月15日の「終戦の日」に、念願かなって靖国神社に参拝することができました。靖国神社の境内に入って直ぐに感じたことは、「ここに真の日本がある」という実感でした。第一鳥居で一礼し、さらに進んで行くと、そこかしこに美しい日本の国旗がたなびいていました。

 白地に赤く 日の丸染めて ああ美しや 日本の旗は

 夏の青空に映えて、日の丸が掲げられ、風にたなびく美しさは格別なものでした。美しい日本の旗が、誰にもはばかることなく掲げられ、誇らしくたなびいている、まさに靖国の社において日本の国旗が生命の息吹を取り戻しているように感じました。

 現代の日本人の生活において、どれほど国旗が軽んじられてきたことでしょうか。旗日に日の丸を掲げている家がどれほどあるでしょうか。学校行事や役所や警察署、消防署などの官公庁において日の丸を見ることはありますが、私たちの日々の生活の中でどれだけ日本の国旗は肩身の狭い思いを強いられてきたことでしょう。

 国を愛するには、何から始めたらよいのでしょうか。それは、国旗を愛することからではないでしょうか。誇らしい心で国旗を掲げることです。そこから、国を愛する心が芽生えてくるのです。靖国神社には国を愛する美しい光景が広がっていました。ローマの歴史家であるキケロは次のような言葉を残しています。

 「あらゆる人間愛の中でも、最も重要で、最も大きな喜びを与えてくれるのは、祖国に対する愛である。」

 今回は大東亜戦争終戦80年の節目の年ということもあってか、多くの若者が靖国神社を訪れていました。そこに日本の希望の光を見るようでした。第二鳥居の辺りからは大変な人込みで、参拝者の方々が整然と並んでいました。待ち時間がおよそ2時間半であると聞かされても、列を離れる人はなく、炎天下の中、粛々と参拝されている姿に、日本人の美しい心を見ました。そして、日本のためにたった一つしかない尊い命を捧げられた御英霊に対して、静かに手を合わせ、心からの祈りを捧げる。ここに集った一人一人の思いこそが最大の国防力なのではないでしょうか。

 日本という国が守られているのは、一人一人の小さくとも真心のこもった祈りの力によるのであり、国を思い、祖国を愛する心が日本国の礎となっているのです。英霊に捧げる哀悼と感謝の祈り、私たちが生まれ育った祖国日本を愛する心、それこそが国を守る堅固な砦となり、揺らぐことのない城壁となって、日本国民の幸福と平和を守っているのです。

 靖国神社では正式参拝をさせていただき、国家のために尊い命を捧げられた246万6千余柱の神霊(みたま)に祈りを捧げました。午前11時40分からの正式参拝となったため、靖国神社のすぐ隣の日本武道館で行われていた「全国戦没者追悼式」の音声を聞きながら、正午の黙祷を捧げることができました。そして、御英霊と共に天皇陛下のお言葉を拝聴させていただきました。

 神聖な霊気と静寂が包む中で、命をかけて日本を守ってくれた人たちの魂の鼓動を感じながら、この瞬間にしか味わうことのできない殉国精神の美しさに打ち震えました。そうした中で、靖国の社では「海行かば」を熱唱する人々の歌声が響き、また、「日本国万歳」の掛け声や、「天皇陛下万歳」を唱和する声があちこちから聞こえ、日本人であることの誇りと喜びが心の奥底から湧き上がってくるのを感じました。自分が日本人であることを自然のままに感じることのできる聖なる場所、それが靖国神社であると思います。

 この日、靖国神社を訪れていた人たちはそれぞれに国を思い、国を愛する心を携えて、参拝に来られていたのだと思います。その心が何よりも美しく、どんなことよりも尊いと思わされました。そして、こうした人々の美しい心にこそ、真の日本は生き続けているのだと思いました。靖国神社は本当の日本に出会うことができる慕わしい場所であり、本当の日本人に出会うことができる懐かしい場所であり、私たち一人一人が本当の自分を取り戻すことができる神秘的な場所なのかもしれません。

 私たちが本当の自分を見失い、何のために生きるべきなのかと思い悩む時、靖国神社を訪れ、そこに祀られている御英霊に心を向けるならば、それまで見失っていた本当の自分を見つけることができ、何のために生きるべきかを教えてもらえるのではないでしょうか。

 日本人として、誰もが一度は訪れるべき場所、それが靖国神社であると感じました。そして、今、私たちが日本という国に生かされているのは、この国を守るために命をかけた人たちがいたからであり、私たちのために戦ってくれた人たちがいたからなのです。この真実を決して忘れることなく、日本人として靖国神社に参拝しましょう。「また、靖国で会おう」という約束の言葉は、戦地に赴いた戦友たちが互いに交わした約束であるだけでなく、今を生きる私たちとこの国のために戦ってくれた人たちとの永遠の約束だったのです。

 「また、靖国神社で会いましょう」との言葉を英霊の方々と交わした、この日のことをいつまでも忘れないようにしたいと思います。本当の日本に出会うために、本当の日本人のことを思い出すために、そして、本当の自分に出会うために、また靖国神社にお参りしたいと思いました。